先のインタビューNo.53でもお話し致しましたが、改めで「称号」について皆様に重ねてお伝え致します。
斯道の称号には「錬士」・「教士」・「範士」という3つがあります。
練達の士、すなわち「錬士」・教えるに足る士、すなわち「教士」・範たるを持って「範士」といいます。この称号というものは、サー(英語: Sir)と言うような称号と同様に、大変な名誉を付与された事であり、格式を示すものであります。そして免状などには段位と一緒に併記されるものです。
称号は、それぞれ相応しい段位というものがあり、概ね錬士は六段(錬士六段といいます)、教士は七段(教士七段)、範士は八段(範士八段)というのが相応と言えましょう。例えば錬士の場合、原則は六段ですが、許容範囲として五段、六段、七段くらいまでを冠省しても違和感がありません。同様に、教士は六段から七、八段まで、範士は八段から十段までが相応でしょう。
このように称号と段位との釣り合いは武道の習わしです。それに基づいて言えば、「小太刀 範士八段」の人が長剣も八段であるべき所、長剣が初段や二段であるのは、何とも“異”な事です。免状に指導者として記す場合も「長剣 範士初段、範士二段」とは到底書けません。他の武道から見れば、これは大変に恥ずかしいことですね。
段位は自身が受験して得るものですが、称号は修練の積み重ねの証しであって、品格・格式・言動・立ち振る舞いなど総合的なものから“ 授与される ”、段位より何より上位に位置される名誉あるものです。称号を授与されたら他の種目もおろそかにせず、称号に相応しい段を取得するよう精進して頂きたいと思います。
第42回世界選手権大会
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