今年は3月11日の東日本大震災の他、世界各地で政変や水害が連続して起き、大会直前まで大変に気を遣いました。それでも多くの国から海外選手を迎えることが出来、大変喜ばしく感謝いたします。
さて、まず「おめでとう」と言うのは、ロシアのマンシン・マクシミリアン選手です。第22代世界チャンピオンに輝きました。これまで過去に海外選手は、第4回のディブ・レネスキー選手(USA)、第17回のアラン・ジロー選手(フランス)、そして今回の第22回のマンシン・マクシミリアン選手(ロシア)の計3名です。千人を超える強豪の中から一本勝負で勝ち上がるといのは大変な集中力であったと思います。
第37回世界選手権大会 打突グランドチャンピオン ロシアのマンシン・マクシミリアン選手(中央) 他、ロシア勢と田邊哲人会長
総体的に見て、又特に決勝戦について創始者として今後の指導方針についてアドバイスをすれば、スポチャンは「スピードとタイミングの祭典」という如きであるが、これは" 早く・適格に・そして相手が感じることが出来るような『強さ』 "が必要であります。面打ちは、頭、顔でかなりの衝撃を受けますので異議の挙手はほとんどありませんが、着衣に保護されている部分、即ち胴とか足とか腕とかに当たった時は、着衣の中に空気等が入っていたり厚着をしていたりして打たれたという感覚が鈍く、それにより選手は「軽い」という異議申し立てをすることがあるように見受けられました。
この要因として以下の4つ点があります。
- スピードに重点を置くため、強さが欠ける場合がある。
- 一度に多数の連続技を繰り出したいため、ひとつひとつの打突が不確実、且つ弱くなりがちである。
- 審判もやや緊張するために、その瞬間を判断する間に次々に場面が変わってしまい、そして即ちその瞬間を取り損なってしまう。これは審判の稚拙というより選手の打撃が不確実である事に起因する場合が多い。
- 競技者が挙手して「軽い」と抗議するのは、あくまで競技者"個"の主観であるため、この場面の全てではない。然るに相手・審判・観衆をも納得させ、満足する打突を心掛けなければ真の勝者とは言えない。
<参考>
田邊哲人著 新刊「スポチャン物語」P90〜(2011年11月25日 叢文社より発売予定)
「またディフェンスは見切り技が一番よく、たとえ1mmでも見切りだが、それは自分だけの見切りである。」
「客観的に見ている審判。ギャラリーや、他の人から疑念をいだかれないようでなければいけない。」
「面なら数cm以上の間、胴は深いから、10cm以上の間がないと「のぞいた」と言われ、一本を取られても仕方ないことだ。」
「また、帯やスソを打たれた場合に、自分の身体に感覚がないからと言っても、それは通用しない。」
「不完全な見切り」と「不完全の打突」の違いはある。
「双方が至近距離で打ち合えば、大方が相打ちとなっている。」
「ハカマであろうが、ニッカポッカであろうが、長帯であろうが、着るのは自由。しかし、それを叩かれたらそれは、自分の身の一部。」
「時に選手が軽い、などとクレームをいう事があるが、エアー剣は、着衣はクッションになるため選手は打たれた感じが弱いことがある。軽く感じても当てられた非は十分ある。さらにその強弱の判断は審判がする。」
「とくにズボン等をはいた足を打たれた場合にこのことが多い。しかし面打ちは顔や頭なので本人は打たれたことを自覚できる。適格さや早さはもとより、大事なのは強さ。この三つが完全に揃うことが必要である。」
審判に関しては、次回からは基本動作の審判が1人から3人、5人と増えていくのと同様、打突の試合も、ある程度の試合から副審を増やすこととします。これにより、審判も重圧から軽減されるかもしれません。
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