大会に引率して来るご父兄の中には、基本動作の試合をビデオ撮影して、それを自宅の家族団らんの場で、家族のコミュニケーションとして活用している方々もいるのです。これはどの家庭でも日常の風景でありましょう。とにかく一生懸命に我が子と共に勉強し、我が子の成長を見ているのですね。それらの中にはビデオが擦り切れるほど見て、「○○ちゃん、ここがいけなかったね」また、「○○ちゃん、この姿勢が良くないね」などという親子の会話があるのでしょう。その内に徐々に基本動作を見る目ができてきて、偏った判定をする審判や、大会の時にしか審判をしない人よりも目が優れてくる場合もあるのでしょう。
審判の心構えとして、ルールブック2「公認審判員規定」の22頁にも次のようにあります。
「審判の心構えと判断の考察」 ( ルールブック2 「公認審判員規定」の22ページ)
2.審判の心構え
審判の判定は、スポチャンの進む方向を示す重要な役割がある。したがって、とくにその責任が重い。厳正な態度はもとより、試合者と同一の動き、同一の目、同一の心で試合者が納得し、観衆が満足する審判を行い、信頼されることが極めて重要である。
この様に、選手は元より、見ている人達にも信頼されることが審判として重要なことなのです。
現行の基本動作審判は、3人編成での多数決で決定していました。多数決とはいかにも民主主義的で公平の様に聞こえますが、それは十分に「目の眼」が備わった審判団に言えることで、まちまち、さまざま、俺が俺がの審判員が集まっては必ずしも正確な答えが出るとは限りません。
と言うのは、現行の基本動作審判員は、地方に於いて、またその道場に於いて決定審査された者を「みなし合格」として本部が認定書を発行していたのでありますが、それは地方大会などローカル大会等で審判などに参加し、実技教育としての目を錬磨、習熟して頂けるという事を予定して認定してきたわけであります。当然として実践において審判実技を行う訳でありますから、徐々に目利きになって然るべきと思っていましたがやや意に反し、昨今、観衆からも疑問の声が出る判定や、他の審判員から不満が出る判定が、たまさか見受けられるようになりました。それらはやがて基本動作競技の進む方向すら阻害することとなります。
正しく目合わせすることがなかった今までの審判は、見る着眼点、判定基準のポイント、それらに所以する全体の総合判定にもやや自信が持てない、またそれらに起因する不安があるのは当然でしょう。従って本人の自信と何人にも説明できる審判になって頂く為に、「目合わせ試験」を行い、「同一の目」、「同一の動き」、「同一の心」を会得して頂くことになりました。やがてこの基本動作一級審判検定に合格するということは、大きな自信となるでしょう。
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