総体的に言えば、今回からの全日本選手権大会は、ただの日本一を決めると言うだけではなく世界大会の代表選手の選考を兼ねていますので、私は各試合を興味深く観察していました。今大会で優勝した山口選手は世界大会の代表選手へ大きく近づきましたが、その他にも私の知らない選手、また見たことのない地方の選手の中に、非常に立派な選手がいたことが大きな収穫でした。今後もそういう選手に注目していきたいですね。大会は全ての人に等しく与えられたプレゼンテーションの場ですから、強い存在感が必要でしょう。 世界大会代表選考会は、今後まだ3大会あります。 1つは8月静岡県由比町で開催されます全国少年少女大会、9月に青森奥入瀬町で開催されます日本レクリエーション大会、10月に鳥取琴浦町で開催されますスポレク祭です。この3大会が選考の対象となっています。 今回、不本意な成績や良いプレーができなかった選手もまだチャンスはありますので、選考委員の目に止まるような試合を是非見せて貰いたいですね。 世界大会での日本代表は基本動作部門が2チーム6名の計4チーム12名です。ここで注意しなければならないのは、先鋒 小太刀、中堅 長剣フリー、大将 二刀、そのいずれも有級有段者でなければなりません。また基本動作も有級有段者でなければ代表選手にはなれません。従って、それぞれが手抜かりのないよう配意していただきたい。 打突競技部門のAチームは、過去の世界チャンピオンチーム。昨年はこのチームが世界大会でも優勝しましたが、今のところBチームは全くの白紙です。また代表選手の選考の参考として「特練」を考えていますが、これが全てではありません。今後は日本として強化選手を育成していかないと、世界の中では戦えないと思います。しかし「特練」はあくまでも選考の参考であって、代表選手になるためにはやはり大会で成績を残さないとだめですから、これからの選考対象の大会で大いに活躍していただきたい。
そうですね。日本人が辛うじて獲得しました。しかし実力は均衡していました。 4月にヨーロッパ大会に行ってきましたが、各国の選手の目の輝きを見て、その強さに大変驚いています。打突部門のフランス、イタリア、基本動作部門のロシア、ウクライナ。とにかく、体が強い。足腰も本当に強いです。 サッカーのワールドカップを見ても、肝心な所で日本人は転ばされていました。ファールを誘う意味もあるかもしれませんが、転ばされてはいけない場面で、相手が突っ込んでくるのが判りながら転ばされる。自力のある選手などは、ボールを取りに突っ込んでくる相手選手を巧くかわし不自然に転ぶ場面が見られません。実力の差も大きいのでしょうが、同じ人間で有りながらあれほどの差は、練習方法に一考を要しなければならないと思います。 スポチャンは前後左右運動が重要で、"極端に低い位置から飛び上がって打ち込んだり、高いところから低いところに打ち込む"と言った非常に足腰とバネを必要とするスポーツです。 またスポチャンはスピードとタイミングのスポーツです。瞬間、そこにあると感じたときにはもう動いている、既に打ち込んでいる。そういう"瞬間"を大事にし、練習することが世界に通用するアスリートになる。それらは基礎体力のためのハードなトレーニングや体いじめというものの中では醸成されません。"技の切れ"を念頭において今一度、練習方法を考えた方がいいですね。 今大会優勝した山口選手は日本チャンピオンは2度目、準優勝の長谷部選手は1度全日本チャンピオンになっていますが、昨年の世界大会Aチーム日本代表として出場した過去の世界チャンピオン達がまだ上にいます。その大きな山を越えて貰いたいですね。そのためにもう一つ、何かを掴んで貰いたい。今回長谷部選手は大変動きが大きく、良くバネを使い飛び上がって打ち込むことが出来ていました。飛び上がって横面を打つタイミングが非常に良かった。私はその人の試合を見ていると、練習方法の意図も大体判ります。指導者もそう言った点に注目し、こういう大きな大会で会得して貰いたいですね。