今大会では先ず、大変に良い開会が出来ました。 私はどこの大会に行っても先ず、その開会式のセレモニーが一番気になります。開会式とはその大会を象徴する重要なセレモニーです。そこできっちりと号令に合わせた動作が決まる、このことがスポチャンという団体の総体評価に繋がります。来賓頂いた方々が客観的に見て、その団体、大会を認めるかどうかはこの点にかかっているのですね。来賓の方々は色々な行事のセレモニーに出席していますので他と比較できますし、また繁多の折、最後まで見届けるわけではありませんから、そのセレモニーでその団体がしっかりしているか見定める大きな要素となります。誰しもダラダラしたセレモニーなんて出席したくないでしょう。そして結局、好印象を持ったしっかり統率のとれた団体を好きになるし、認めると事になるでしょう。
先ず、全国的に広がっている「注目の礼」のアドバイスポイントは、来賓の方々が挨拶する場合、指揮者(号令を掛ける人)は、「○○先生にー」と言うように予礼の語尾を伸ばすでしょ。「○○先生に向かって」とか「○○先生に対して」、また「正面に向かって」ではいけません。あくまでも「○○先生にー」という予礼です。そして場内一同が静止した状態を見届け、「注目!」と動礼が掛かります。その時に上席の真正面の人は、一斉に顎を4,5センチほど上げ静止します。また左右にいる人は、上体を動かさずに首だけを曲げてその人の目を注視します。そのアクションがピタッと決まると、大変に気持ちが良いものです。鍛えられた団体とはそう言うものです。しかも"礼にはじまり礼に終わる"武道団体ですからそれ位は当然でしょう。そしてこの指揮者の呼吸と気合いでこのセレモニーの成功が決まります。 今大会は、正に美しくきりっと決まった大変に気持ちの良いセレモニーでした。 またいつも気になっているのは、指揮者の立つ位置ですね。横隊の一番右教導から60センチ離れて立つのです。そして半ば左向き(45度)、号令を掛けます。ローカルな大会には、この指揮者がとんでもない所に立つことがあります。この位のことは、当然正しく行って然るべきですね。
岡山県の藤谷恭信選手は、最初から巧いと感じていました。当時はまだ荒削りな所もありましたが、今回はきちっと仕上げて来ましたね。世界でも通用するでしょう。 決勝戦では、今年の基本動作少年チャンピオンであり、そして全日本基本動作チャンピオン連覇の掛かった高知県の野村五月選手との戦いでしたが、技量と言うより、藤谷選手の武道経験からくる風格が印象的だったということしょうね。男性の力強さ・たくましさと女性の華麗さ・美しさ、どちらもその長所を素直に伸ばしていく、それでいいのだと思います。
そうですね。第28回全日本チャンピオンの菅田勝治選手(新潟県)との決勝戦でしたが見応えが有りました。結果表を見ても全日本チャンピオンや世界チャンピオンの経験者などそうそうたるメンバーが出場していましたから、どの試合も見応えがありました。やはりチャンピオン経験者というのは、なんだかんだ言っても力がありますね。勝負感もあるし。経験豊富な田邊選手のみならず、第31回世界チャンピオンの山田選手もやる気が湧いてきているようです。かれらは地域では優秀な少年達を育てています。 田邊選手の強さは、そのバネにあります。今回は若干絞った身体とリズムが良かったですね。リズムが良いと一ヶ所に居つかず、相手のリズムに合わすことなく自分のリズムで打ち込める。相手のリズムと距離を読み一瞬に打ち込む。または打ち込んでくる相手をかわして打つ。「打機三処」と言葉で言うのは簡単ですが、両者ともそんなことは解りきっていますから難しいし面白い。緊張の中の緊張、瞬間芸ですね。 そう言う所が、オープン戦に出てくる経験の少ないジュニアにはなかなか厳しいところです。ジュニアがオープン大会に出場するとき、どうしても経験不足が露呈してしまいます。勝つ時は勝つけれど長続きしない。もっと視野が広くなり、全体が見えるようになるとまた一段階強くなるでしょう。勝って得ることもたくさんあるが、負けて得ることもたくさんあります。今は焦らず、勝ち負けに拘らず、自分自身で自由に研究・修練して下さい。大きな大会になると、最後の試合になればなる程息の抜けない面白い試合になります。時間的な関係で難しい場合もあるかも知れませんが、最後の試合まで見ようと言う意気込みを持って、実際に見たりビデオに撮影したりして「見取り稽古」をして欲しいですね。ビデオでくり返し見取り稽古するのも効果的ですから。
今大会は、世界大会の団体戦代表者を選考する大会の一つとして重要な大会でした。またアジア大会、全国学生大会も代表選考大会となっています。これは、万人に斉しく与えられたチャンスです。幸運も道連れにしながら十分にスポチャンをエンジョイしていただきたい。そして私は今後とも、常にこのチャンスを斉しく全員に提供しつづけ、そして、皆さんのサクセスストーリーを支援したいと考えています。