前日講習会では、目立った者の中より数人の基本動作を見ましたが、正面から見ていると、いずれの動作をとっても正中線が些かも崩れず、安定していました。前見の競技ですから、少しでもぐらつきがあったり、バランスが悪かったりすると気になるところです。美穂君の場合は全くぐらつきが無い安定した基本動作でした。武井綾音君も、正中線がぶれず、迫力のある基本動作を演武していました。
思い出したのは、7、8年ほど前になりますか、2006年の第32回世界選手権大会で、美穂君は当時7,8級だと思いましたが、名だたる選手を押しのけ、なんと世界一になりました。その時は「え!?」と、とても驚きましたが、今考えるとその時の外国の審判員の見極める目に敬意を表します。当時の美穂君は、小さく細くて決して迫力があるわけではなかったと思いますが、それなりのトータルバランスが良かったのでしょうね。振り返ると、そこをよくぞ見極めた審判団に、さすがだなと思い起こしました。
第32回世界選手権大会 基本動作 個人戦 グランドチャンピオ吉村美穂選手君(千葉県)
当時の笑顔
7,8年前「第32回世界選手権大会」基本動作の外国の審判団
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」ということわざがありますが、ただ照らせば光るというものではないと思います。むしろ「瑠璃も玻璃も磨けば光る」という事だと思います。
基本動作の極意は、内観にあるもの、即ち自分自心を見るものです。自分の心を見るとは、即ち「自心研磨」にあると思っています。それはあたかも“遠山を見るが如く”、闘志を表に出さず、静かに輝いているという事が大事なのでしょう。
遠山の目つけ
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