本部では15年位前から、審判資格の審査及び、地方大会での審判員を各都道府県市区町村毎の指導者に委嘱しておりました。 審判講習の内容も、良き指導者を得て、打突競技の小太刀の部をベースとして旗の持ち方・上げ下げの仕方・渡し方・礼の仕方・裁定の方法というものがベーシックコースであり、審判員試験を受け80点(100点満点)を取れば、後は実践で実際に審判を経験し腕を磨いて貰うという方法でした。それに関しては小太刀・長剣フリー・二刀等の打突競技には十分に対応できる審判員が養成できました。その分には不足は無いのですが、正式種目である基本動作審判の養成には、いささか物足りないものがありました。 基本動作に判定が定まらない理由は、着眼点がまちまちだったようです。 基本動作の重要な部分をポイントで表すと、土台の安定(下半身の安定)が50ポイント、気剣体の一致活動が30ポイント、そして運足活動が10ポイント、あとは枝葉である手足の向き、目の付け所が10ポイントくらいの割合と私は指導しています。 しっかりした安定感のある下半身に、安定した運足(踏み込み)と身体の移動は、小人や初心者には一足から指導し、下半身が安定してきたら次ぎに一足半、そして上級者は二足踏み込むようになります。身体が安定しないと二足前へ出て身体がぶれずにピタッと止まることは出来ません。この動作は小人や初心者にはいきなりは難しいので、段階をつけて指導していきます。 この様に基本動作は打突競技と全く違うものです。今までの審判員には、打突競技と基本動作の両方を勉強のために担当してもらっていましたが、今や世界各国の人々が参加するような大きな大会や又、いつも親子で大会に参加する人などは、ビデオで試合を撮影し、家に帰ってから一家団欒の中でくり返しくり返しこのビデオを見てチェックし、親子の会話から知らず知らすの内に子ども達は上達しますし、父兄も目が肥えてきます。不審感を持たれるような判定はできないでしょう。そこで基本動作1級審判員が必要なのです。 基本動作1級審判員の認定方法は、『目合わせ審判法』と言う方法で実施しています。目合わせ審判とは実際に10試合を判定し8回合わないと合格しません。詳細は以前、【インタビュー記事No.14】でもお話ししましたが、実際は全部で20試合を判定します。先ず、第1回目として10試合の判定を行い採点します。10回の判定の全て合い、100点満点の人もいますよ。そして更に第2回として10試合の判定を行います。1回目、2回目とも100点の人もいれば、両方とも合わない人もいます。いつも自分だけ旗の色が違うと目立ってしまいますし、自分自身でも自信がなくなってしまいます。そういう人は、着眼点、即ち見るポイントが少しちがっているかもしれませんね。着眼点を等しく理解し、そして極めて普通の感覚で見ればいいのです。別に難しくありません。下半身がしっかりして安定していれば、剣道でもサッカーでも野球でも姿は美しいものです。 また基本動作以外の種目でも、スポチャンが世界に普及し、各国から選手が集まるようになった世界大会などでは、地方大会では殆ど実施されない槍や短刀などの種目も正式種目として実施されています。外国選手のレベルは極めて高く、又、国別対抗戦などでは言葉の壁や民族性の違いを理解しなくてはなりません。審判員も相応の高いレベルの判定が求められるようになってきています。
2009年より「1級2級審判講習会・新指導者講習会」が開講します。 各地域で年2回以上開催予定ですので、インストラクター・師範・師範代の方々は受講して下さい。 スケジュールはホームページで確認して下さい。