スポーツチャンバラ 田邊哲人会長のインタビュー
会長インタビュー No.63
「指定審判員」と「指名審判員」

田邊哲人会長

世界大会などでは、決勝のコート等で会長が審判員を指名している場面を見たことがあります。これは?


  そうですね。 各種目の1級審判資格を有している「指定審判員」から指名します。

  「指定審判員」とは、全ての種目(基本動作・打突(小太刀・長剣フリー・二刀・長剣両手・楯小太刀・楯長剣・短槍・長槍・棒・杖・短刀等) )で1級審判合格であり、得物自由(異種)、又、合戦の審判ができるという資格ですね。「オールマイティ」と言うことです。その審判の中から審判を指名することを「指名審判員」と言っています。

  「指名審判員」とは、全日本選手権大会、世界選手権大会等の大きな大会で既に実施されている通り、審判員を指名することです。1級を持っていれば誰でも良いという訳ではないのですよ。世界大会の場合では、概ね国の代表がなる場合が多いですね。判定は多数決で採決するのが原則である以上、その審判の編成が偏っていれば不公平感が生じるでしょう。従いまして技術は元より、審判編成も国や都道府県等のバランスを考慮し時々入れ替えをして調整しています。

  「検査役(チェッカー)」も同様です。 検査役(チェッカー)はその選手と関係があっても良いのです(同国など)。検査役(チェッカー)は父兄であり、弁護士であり、代弁者です。とにかく、選手に安心感を与える事が必要ですね。選手と「同一の動き」「同一の目」「同一の心」を持って、試合に同化しないとダメです。

  逆に、「あの選手はいつも手を上げる・・」など、自分の非を認めないような審判が時折いますが、非常に情けないことです。選手の心が読めていない。審判側が疑問を持った場合でも、試合を中断させて選手に確認しても良いのですから。後々悔いの残ることのないような判定をしなくてはいけません。独善的ではいけません。

第39回世界選手権大会 検査役(チェッカー)を務めるフランスのCELINE LESCUYER氏
第39回世界選手権大会 検査役(チェッカー)を務めるフランスのCELINE LESCUYER氏

  ご承知の通り、スポチャンは2審制です。1審で何の違和感もなければ良いのですが、選手のみならず、審判の中にも疑問があれば試合を中断させ、合議を経て2審で再判定となる訳ですが、合議(5秒くらい)の間で心を安定させ、再判定(ジャッジ アゲン)で最終判定をします。少しでも違和感があれば合議し、選手も審判もギャラリーも納得すること。それがスマートなジャッジです。
又、ギャラリーや監督の中に「入った、入った!」などと囃し立てる者も同様に、誠に情けない事ですね。審判も人間ですから動揺します。選手もギャラリーも万端つつがなく、楽しい試合になるよう「スマートなギャラリー」であって頂きたいですね。

  もう「1級審判資格を取得したから卒業」と思わず、何度でも講習会を受講して常に目を養って下さい。選手も修行、審判も修行です。

世界選手権大会での合議
世界選手権大会での合議


次回の「インタビュー」もお楽しみに!!
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