短槍とは短い槍のことですね。概ね1メートルから1.2〜1.5メートルです。それから言うと、2メートルの槍は長槍(ちょうそう)と言うことになりますね。 このスポチャンには特に小学生が多く、低学年では自分の背丈の2倍近くはあるこの2メートルの槍を、まずは操作する事自体無理でしたね。それでも槍を好きな人たちがいて有段者も相当いますが、反面、長槍の級を取得するチビッコ選手が少ないのが現状です。小学生などにも楽しめるように、まずは短槍から始めるのが良いでしょう。 私が昔、指導していたものは2メートルの槍よりは若干短く、約1.5メートル位。その短い槍(短槍)を巧みに使う術を教えていました。この短槍を巧みに使うのは、長槍より攻防の幅があって誰でも"はまる"と思いますよ。極めて実用的ですからね。突いたり払ったり、避けたりと、かなりショートレンジでスピーディーな刺突の攻防を理解し楽しむ競技です。また運動量も相当多いのでダイエットにも良いですよ。
そうですね、練習では従来の1メートルの長剣を使い、ソフト剣の柔らかな部分も握って左構えに構えます。そもそも構えには3つあって、正面構え、右構え、左構えがありますが、短槍の場合、左構えが標準的な構えです。 左構えとは、左足を半歩前に出し、剣を握った左拳を左腰から30センチ程前方へ出し構えます。右拳は長剣の柄を握り、腰の部分に固定保持します。要約すると、左手は空気の入った柔らかな部分を持つことになり、剣先は拳から約30〜50センチほどが出ます。これは身長差によっても変わるでしょう。接近戦での攻防は、その前に出ている剣先で相手の剣を巧みに払って返突する。その狙う所は、心臓部即ち上胴(うわどう)です。 また間合いを長くとったロングレンジで戦う事もできます。それは"くり剣"と言い、左手を緩く持ち、左手を起点としてビリヤードのキューを突き出す感覚を想定していただければ分かり易いと思います。そうすると1.5メートルの距離からでも相手を刺突できるわけです。この様に相手と接近したり離れたり払ったり、突いたりして戦うところが面白いのですね。 この競技の重要な部分は、刺突もさることながら、残心と称して大きく引き抜く動作、それに伴い大きく発声することが心肺の運動となるのです。「3分の力で突いたら、7分の力で引く」と言うように引きは大変に重要で、突いた後、腰を入れ直して思いっきり引きます。思いっきり引き抜く意味は、実践では相手に槍を掴まれてしまう事があるからですね。腰を入れ直して思いっきり引き抜けば、もし槍を掴まれたとしても引き抜く事ができます。 これらが槍の最低限の基本です。
短槍のカテゴリーが増えると言うより、まずは長槍より扱い易い短槍を使って「理合(りあい)」を覚えてから長槍を扱う方が入りやすいのです。短槍は長槍と違って、思った所を突くことができます。操作が楽なのですね。 既に特錬会でも2メートルの長槍を子ども達にやらせてみても、とにかく、先ず"直突"できない。真っ直ぐに突けないのです。槍の先がどこに行くのか見当もつかない。これは大人でも同様で、思ったところを突けないから、大方はまぐれ当たり。勝つのもまぐれ、負けるのもまぐれという感じです。従って見ている者も緊張感に欠けて非常につまらないし、審判とて、どれを一本取ればいいのか戸惑っている。そんな見苦しい試合になっています。これは私が審判をしても同じで、私の知る限り数人を除いて、ほとんどがこの様な始末です。 これは槍先が流れてしまうためです。槍先はショートしてもオーバーしてもいけません。「一寸当て止め」の基本を知らないから様(さま)にならないのです。「一寸当て止め」とは、槍先を"そこで"止めることです。先ずは距離間から直さなければならないでしょう。 姿勢は、両足をどっしりと肩幅に地につけ安定させます。そして左構えの姿勢の左拳を規準として、上・下・左・右を防御する練習から始まります。相手の刺突を、自分の槍を前に突き出して左を防ぐ、右を防ぐ、上を防ぐ、下を防ぐ。その4つができて始めて、相手の槍を外したところをつかさず返し突。これを返突(へんとつ)と言います。 練習の号令は 「左を防げ 突け」で左側(裏側)に入ってくる相手の剣を剣先で防いで、上胴を突く。 「右を防げ 突け」で右側(表側)に入ってくる相手の剣を剣先で防いで、上胴を突く。 上下も同様です。 そもそも槍は、何と言っても直線的に最短距離を、瞬間的なスピードで相手の上胴めがけて直突するのが主たる使術です。しかし相手のいる競技ですからそう簡単には入りません。返突したり、槍を払ったりと言う攻防となります。 この様に槍は、基本や使術自体が他の得物とは大分異なりますので、大会では正しく槍の基本を理解している審判が審判する事が必要なのですね。 本年は私が全国8地区を巡回し、 1,「1級基本動作審判員」 2,「短槍 審判員・指導者」 3,「長剣両手 審判員・指導者」 について講義します。 参加者は指導者資格が得られます。奮って参加して下さい。 短槍や長剣両手は少年少女も大いに楽しめる競技だと思いますよ。 各指導者は、是非、全員の参加を希望します。