スポチャンは「いつでも」「誰でも」「どこでも」というテーマで今まで普及してきました。この点はいささかも違える事はないでしょう。従っていろいろなイベントや教室、その他では多くの皆さんの参加を希望していますが、しかし大きな選手権大会とならば、いささか異なります。 まず無制限に希望者を受け入れていると、会場の広さや運営の関係で選手のキャパシティーオーバーになる事が度々ありました。また更に、ビックイベントの一つである少年少女選手権大会は、一昨年(平成17年)12月14日に総務省の所管である(財)地域活性化センターより俗称「100の甲子園」そのスポーツ推進事業の1つに認定されました。これは青少年の夢を叶えさせるところの野球で言う"甲子園"のように聖地を国が認定してくれたものでしょう。とならば、我々もその主旨を真摯に受け取め、スポチャン少年の日本一を決定する国内の代表的な競技会になるよう進める責務が生じてきました。従ってこの少年大会を少年競技スポーツとして真の日本一を決める大会と位置付けなければならなくってきたわけですね。国の指導としては、全国少年少女選手権大会の場合、全国を8地区に分け、まずその8地区で地方選抜会を開催し、その上位者が本大会である選手権大会に出場できるという事ですが、これは共に栄誉をも与える事になります。それには飛び入り自由と言うような「いつでも」「誰でも」「どこでも」という様な訳にはいかなくなりました。
何事の修行の場も同じであろうと思いますが、例えばそろばんや習字でも、いきなり段が有るわけではなく、それぞれの段階を踏み、そして上の段に進む事は周知のことで、そういう道程を修行と言うのでしょう。試合形式が段級別で分かれるということは、同等の実力、技術を習得した者と認定された者が対戦するという極めて自然な事であり、いずれにも不足はないものと言えます。 例えば12歳の初段、即ち黒帯 50歳の初段、即ち黒帯 25歳女性の初段、即ち黒帯 年齢、男女に差別なく同等のグラウンドで正々堂々と勝負すると言うことは、公平且、平等と考えます。更にスポチャンは早くから資格を与え、様々な人々の中で錬磨させる、年齢とは関係なく人間としてお互いに認めあえる、そういう事に大きな意味があるのです。まぁ、そうは言っても筋肉や骨もしっかりしていない幼年からと言うわけにはいきませんので、概ね小学5,6年生からが大人と互角に対戦できる良いチャンスと思っています。 段級は、単に「強さ」の証明ではなく、敢えて強さと言うならば「我慢強さ」の証明であると言えるかも知れません。先ず師匠に付き、その道の立ち振る舞い、位場所、位置処、これを「わきまえる」と言います。「わきまえる」は、"脇に構える"事です。人を押し退け、我を押しつけていくような事ではいけません。いずれにも手順、順序があるのです。家にあっては祖父母、父母、兄姉、自分、学校では先生、先輩に常々尊敬の念を以て順序を外さず、位置処をわきまえる。出過ぎ、引っ込み過ぎ、いずれもいけないのです。人間としての我慢を会得すると言う事は「対人研磨」、即ち人間のゴツゴツした角が、人によって研磨され磨かれる。角の一つひとつが取れ、やがて円満に丸くなる。そしてそれは"道に入る"人格形成の手段となるわけです。その中にあって段級を認められるという事は、"道に入った"糸口なのです。 さらに段級とは生涯失う事のない師の恩であり、「師と己との恩愛の絆」なのです。 就中(なかんずく)美しい日本と言うならば、その原因がここにあるかもしれません。 その糸口である「玄関」とは、玄妙深淵なる道に入り進む糸口と言う意味なのです。 深淵なる道とは、この世に生を受けた万物に極めて公平に与えられた"定め"の事を言います。しかして師の恩、父母の恩ををよくよく軽んずる事なく、終生、更に心身を磨く事でしょう。
年少と言えども女性と言えども、いつまでも庇護されるポジションではいけないでしょう。自らの腰に付けた黒帯には何の変わりはないものです。黒帯は黒帯の「誇り」があります。黒帯を締めたらその帯に、年少だからとか女性だからという言い訳はありません。海外では「ブラックベルト」と言いますが、ブラックベルトを締めるという事には、大変な名誉とプライドがあるのです。世界的にブラックベルトは大変高く評価され認められています。 更に昇級昇段試験においては、ルールブック1の教則「競技規定」をご参照頂き、その六条に審査方法が定められています。極めて短い文ではありますが、試合審査の欄に「同等クラスに勝ち抜く技量」と定めています。「段は級と異なり、年齢12歳以上」は、性別なく同等クラスに勝ち抜く技量がある者と言う事になっています。 年少が厳しいかと言えば、かえって徐々に体力が落ちてくる年配者の方が厳しいかもしれません。しかしてその辺はお互いの技量で工夫カバーして頂きたい。
まず昨今飛び入り参加が難しくなったのは、用具の貸し借りが禁止になった事が上げられます。これは安全を担保する為にも大変重要な事です。自分で自分の用具を管理しておく事が最初の心がけでしょう。飛び入り自由としていた頃は、人から借りた用具を壊れたまま返すと言った様々なトラブルがありました。また面などは汗や臭いがついていて、貸す人もなかなか抵抗があります。 また大きな大会というのは、出場選手のキャパシティーが一杯となっていると言うこともありますが、もはや腕試しをするような場では無いということです。大会とは平素の熟練度を表現する場であり、そこで指導する場でもない。初心者はまず道場や教室の門を叩き、ルールを覚え、皆さんと気持ち良く戦えるように用具も含めて様々な準備してから参加して欲しいですね。 しかし、多くの地方地域大会では無段無級の部も設定しているようです。そちらでは初心者も出場できますので、各大会の主催者に確認して下さい。