スポーツチャンバラ 田邊哲人会長のインタビュー
インタビュー記事No.33
「下期講習会、短刀のルール改正」

田邊哲人会長
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下期の講習会がはじまりました。如何ですか?


  8月23日の南関東地区は神奈川県の担当でした。場所は神奈川区栗田谷中学校体育館。担当の田村勝家、横山久道、田邊賢一、田村秀三という協会指導部の者も講習会に参加しました。横山君や賢一などは子供の頃から本部道場で私の指導を受けていたし、本部の講師でもありますので、あらためて正式な講習会というと何か照れくさい感じがあるかも知れませんね。でも全員が同じようにやらなければ前に進みませんので、何人にも特例は設けず公平にやっています。(特錬会では1ヶ月に1度程度はみんな稽古をしています。)
  講習会は先般よりご説明している通り、新公益法人に移行するにあたり、新たな気持ちで自信の持てる「専門家」を推薦するためのものです。ここで言う「専門家」とは、一口で言うと「その部門の達人、即ち有段者」と言うことですね。
しかし、師範でもインストラクターでもその指導する種目の段が無い場合は、昇段昇級の審査申請は元より、指導もままならないという事です。即ち、「無資格」という事になります。指導するならば、その種目の段を自らが取得する、それから指導するというのが絶対の手順でしょう。それらの指導者に対して、改めて指導手順を再確認するための講習会を今、実施しています。基本と余りにもかけ離れている我流の指導手順で指導している人がいるならば、習技者やそれらの保護者に真実を問われる事になるでしょう。事実、「あの先生は無資格では?」とご父兄より指摘がありました。基本は1つでなければ、「あの先生はこう言った」「この人はこう言った」とならば、それはみんなが戸惑うばかりですから。特に昔の指導者で新講習会に出てこない人は、こういうトラブルがあります。


審判の名称が変わりましたね。国際審判が1級になったとか


  審判の名称が変わったものを言うと、「国際審判員」は「1級主任審判員」、「1級検査役」に変わりました。1級ですから当然、地方審査は認めません。地方審査では今まで通り、ベーシックである小太刀・長剣フリー・二刀の段級及び、2級審判員資格が取得できます。これは従来通りですので変更はありません。ですから地方では、今まで同様に講習会を開催しこれらの資格試験を実施し、合格者を申請して下さい。
  本部主催講習会では、1級基本動作・長剣両手・短刀・短槍・長槍・棒・杖等オプション競技の指導手順及び、段級審査、審判養成を行っています。これらは私が40年前の「護身道」発足当時からの指導方法で、「小太刀護身道」の本をお持ちの人は、再確認をしながら私の実演に照らし合わせて更に奥深い理解ができると思います。やはり本で読んだだけの疑問が、私の演習により必ずや理解できると思っています。但し、1度や2度で全てを理解する訳にはいきませんので、また次回とかチャンスのある場合に参加して完全に習得して頂きたいですね。私も何時までも若く動けるわけではありませんので、生きている内に来て下さい。


みなさん、他の地区の講習会にも参加して、指導手順等・基本に挑んでいらっしゃるようですね。相当厳しいと聞きますが。


  厳しいとは思いません。私が道の修行に入った時はもっともっと厳しかったですから。私の師匠筋は大方が元帝国陸軍外山学校の教官、又は武徳会の教官でしたからね。甘くはないです。往復ビンタなど、良いか悪いか、体罰は当たり前でした。
  厳しいと言うのは、その人の学ぶ姿勢、心構えの中にあるものですよ。はじめから「これは修行だ」とはっきり割り切って望む人は薬になります。「旦那芸」のつもりの人、余暇の運動のつもりか、又は「勝てば何でも良い」等々だけの人は毒になるかもしれません。これは学ぶ人の心根の在り方で決まります。そしてそれを乗り越え、幽玄な世界に入り道を希求する者が残るのです。できれば「旦那芸」などと陰口を言われる事なく、道を極めて貰いたいものです。
  今講習会では、初期の指導のルーツを知ると言う修技者が知り得るものの他、即ち「奥伝」又は「秘伝」と言った門外不出の技も知ることができるでしょう。「知らない所を知る」とは致知の喜びです。


大事なお知らせがあるようですね。短刀が60cm以下となると聞いています。


  1つ、競技の変更をおしらせしておきます。   短刀は今まで45cm以下としていましたが、60cm以下となります。従って、皆さんがお持ちの小太刀が短刀の部で使えるという便利さがあります。
  小太刀を持っていれば、種目別にはまず、基本動作・短刀(突きのみ)・小太刀の試合が行えますね。また長剣で長剣フリー・長剣両手・短槍・二刀。楯を持ってば楯小太刀の試合もできます。それだけで8種目、いろいろな競技の楽しみが生まれます。新しいものを購入しなくても良いのですから、経済的な負担も軽減されると思います。審判も45cmの短刀より60cmの小太刀の方が距離が離れますので見易いですね。私は細(ホソ 直径60mm)を推奨します。曲がりやすく安全ですから。非力な女子、または少年等は短刀から導入すると、痛くなく安全で楽しく始めることができますよ。

短刀
短刀の試合

  私は講習会では、全員と手合わせしています。折角貴重な時間で講習会に参加し、私と手を合わせした事が何かの思い出になるかも知れませんし、今後何らかの糧になれば有難いと思っています。
  子ども達も希望者とは全員手合わせしています。これはアジアでもヨーロッパでも同様です。指導者がスーツを着たまま口だけで指導しても、得るものは少ないと思っていますから。体と体のぶつかり合い、流した汗の中から、このスポーツの素晴らしさを実感して頂きたい、そう思っています。
  若い頃は随分「気取り」があって、自分の直門でも技を見てきちんと基本ができた者しか相手にしませんでした。相当生意気だったと思います。私と手合わせした者は、門人でも高弟ばかりで、田邊賢一、田渕光宣、島田征彦、横山久道、細川健一等々数える程でしたね。「理合」の解らない者とやっている時間もないし、不愉快になりますしね。
  しかし私の知り得たものは皆さんに伝達する義務がありますから、この機会を逃さずご参加下さい。参加しない指導者は、誠実さもなく、やる気がないと思わざるを得ません。

  先の滋賀県草津での近畿地区講習会は大谷清明以下、石川県、福井県、大阪府、徳島県、香川県等々から大勢の参加者が大変熱心に受講していました。種目が多いこの日の講習会でやり残した部分、棒・長槍、主任審判、検査役等は、これから開催される青森県おいらせ町(10/4)、福島県郡山市(10/10)、愛知県宝飯郡小坂井町(10/18)、大坂市(10/25)、徳島県徳島市(11/15)の講習会がありますので、こちらで受講して下さい。

  来期は1月1日より年間を通して講習会が開催されます。各都道府県は、先着順にて来期のスケジュールを受理していますので、11月10日頃までに必ず提出して下さい。(予定でも結構です。先着順にスケジュールが決定します。)

  この度、新公益法人も内閣府へ申請書類を提出し、またGAISF(国際スポーツ団体総連合)加盟手続きも進んでいます。次から次へと新しい扉を開いています。侮ることなくそれらに乗り遅れないよう、ご報告と共にご案内申し上げます。

11月8日の世界大会でお会いしましょう。


有り難うございました。
次回のインタビューもお楽しみに!!

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