スポーツチャンバラ 田邊哲人会長のインタビュー
インタビュー記事No.25
「初心者への指導方法について(導入方法) 」

田邊哲人会長
関連記事 インタビュー記事No.7 「基本動作解説」

最近、スポチャンの広まりと共に『"初心者への指導方法"についてアドバイス下さい』と言う声が多いですね。そこで今回は、初心者への指導についてお伺いします。


  そうですね。先ずはスポチャンを理解するために、成り立ちを簡単に説明しましょう。

  『スポチャン』ことスポーツチャンバラは、現会長である田邊哲人が1971年(昭和46年)に『安全』『公平』そして『自由』なスポーツとして、老若男女が一緒に楽しめる、また、世界に友達づくりが出来る体力増進や護身道にまた、精神的にも技術的にも強くなる事を目的として立ち上げたものです。
  2006年(平成18年)に文部科学省より公益法人の認可を受け、益々全国に広がっています。安全のために、用具は全て『エアーソフト剣』と言って中味は空気です。相手に当たった瞬間に中程からグニャリと曲がってしまい、当たった衝撃を吸収しますから今までにケガはありません。(但し、眼や耳を守る保護面は付けます。したがって、幼児から大人まで力一杯安全に戦う事が出来ますから、ルールや規則は出来るだけ省き、自然に快活に運動が出来るようになっています。)

  現在世界40ヶ国に支部があり、競技会や講習会は全部で年間400回以上になるでしょう。その中でもやはり世界チャンピオンを決定する『世界スポーツチャンバラ選手権大会』は毎年11月頃〔今年は横浜〕で開催され、約1300人の剣豪が世界から集まります。誰でも参加できますから腕試しのつもりで戦ってみてください。必ず、新しい世界が広がります。




実技の指導は如何ですか?


  初心者の初歩の段階では、練習方法と本格的な試合と分けて実施しています。得物は、小太刀が(60cm)が一番ポピュラーですので、これを使用するのが良いでしょう。

  まず練習方法ですが、幼年から成人まで年齢に関係なく小太刀を使い、初めにディフェンスから練習します。
  上半身、すなわち頭部や小手、胴等を小太刀を利用して相手の攻撃を防ぐ「四方囲い技」と言う練習方法を指導します。これは、「上囲い」(面打を頭上で正確に受け止める)、「左囲い」(身体の左側頭部、首、胸等を護る。左側肩の辺りで受け止める)、「右胴囲い」(右側胴、腰部を護る。右側の腰の辺りで受け止める)、「下囲い」(蹴技や突技から護る。正面の腰やや下辺りで受け止める)という動作を二人一組で、互いに中段に構えて剣先がふれる距離で行います。

  次ぎに下半身のディフェンス、足打ち等を防ぐ方法です。
足さばきには、「引き足」(出ている前足を素早く引き寄せてよける)、「反りよけ」(足は動かさずに、上体を後に大きく反りよける)、「胴引き寄せ」(足は動かさずに、腹部を引いてよける)、「伏せよけ」(小太刀を頭上にかざして頭部を保護しながら伏せよける)、「足あげ」(出ている前足を上げてよける)などの練習方法があります。これも二人一組で互習します。

第34回世界大会 日本代表 野村五月選手(高知県)
第34回世界大会 日本代表 野村五月選手(高知県)

  この防御がおおむね出来たら次はオフェンスを練習します。
  まず打突の方法です。これは基本動作という形式を用いて導入します。
基本動作の流れは、号令に合わせて動作を開始します。「面を打て」以降は、自分でも発声しながら動作を行います。

「きをつけ」
「礼」(礼は動作の前後に必ず入ります。)
「構え刀」では剣を中段構え。
「面を打て」では、気剣体の一致活動により、1足長前へ踏み出しながら打撃部位は前頭部。慣れてきたら一足長半、更に二足長と踏み込み幅を広くします。 発声は<メン>
「小手を打て」では、相手の小手の位置を打ち、中段構えに復す。 発声は<コテ>
「右から胴を打て」では、右から胴の位置を打ち、中段構えに復す。 発声は<ドウ>
「左から足を打て」では左から体勢を低くして、膝から踵までの間の足の位置を打ち、中段構えに復す。発声は<アシ>
「突け」では中段の構えのまま、剣先を3〜5センチ程落として水平に剣を前に突き、中段構えに復す。 発声は<ツキ>
「元の位置」で開始線に戻る。
「納め刀」で剣を納める。
「礼」
という動作です。
尚、この基本動作は、大会では全員参加で必ず行われる種目となっています。
これらの説明や動画はホームページに掲載していますので参考にして下さい。
スポーツチャンバラの基本,  

三笠宮寛仁殿下と楽しむ 合同運動会 (H19.9.30)
三笠宮寛仁殿下と楽しむ 合同運動会 障害者大会 (H19.9.30)

  更に、剣を巧みに鋭く操作するために、次の4つの使術を練習します。どのような試合でも、おおむねこの4つの打撃方法で成り立ちます。それぞれに面打ち、小手打ち、胴打ち、足打ちがあります。

扇打(おうぎうち)
柄を持つ手の五指が上から見えるほど、扇状に剣を開きます。剣先が強く速い打撃となります。
押打(おさえうち)
手首のスナップを利かせる瞬間、小指・薬指・中指を強く握ることにより、剣先に鋭い加速を加えられる。小指の付根で柄尻を押さえるので「押打」と言います。手の内ではねを利用し速い連打が可能です。
回打(まわしうち)
手首を柔らかく使って、円を描くように回転させ、上から下に引き回し打つ技で、試合では多く使われます。二重三重の回打も練習しましょう。
掬打(すくいうち)
回打は縦回しですが、右からの横回しが掬打ちです。

実際の競技ではスピードとタイミングの祭典と言われる程、幾つかの技の組み合わせや工夫が必要となってきます。

以上のような打突練習をした後は、二人一組で実際に競技を体験させます。「スポチャンは、"打ちっこ"ではなく"打たれないっこ"」の基本的な考え方を十分理解させてから始めます。

  まずスポチャンは、どこに当たっても一本です。そして当てられた方は必ず挙手をして負けた事を表示します。これを『自心審判』と言い、素直な人格形成に役立ちます。一本が決まったら、その都度開始線に戻して仕切り直させ、段々試合要領を理解してきたら、審判を付けて、「はじめ」の合図で一本勝負を繰り返します。この試合方式の練習で、対人競技の面白さが徐々に湧いてきます。この時の注意事項は、打たれた後、打ち返さない事。これを"後打ちの戒め"と言い、次に上げるスポチャン使術5則の第一番目にもあります。

一,初一本(しょいっぽん)の励行と後打ちの戒め
初一本の励行とは、無駄打ちをせず一本を大事にするということ。そして後打ちをしない潔さを持つという事です。
二、互譲の精神とさわやかな人間の養成
勝ち負けに拘らず、打たれた後は挙手して負けを自ら告知し、勝ちを相手に譲る精神、爽やかさを持つという事です。
三、打ち過ぎの戒めと友愛の精神
ポカポカとむやみに打ち過ぎず、相手を尊重して友愛の気持ちを持つと言うことです。
四、審判の尊重と礼儀作法
審判の判定を尊重し、前後の立ち居振る舞いを爽やかに示そうという事です。
五、基本の反復と工夫の励行
基本を反復練習させるのと同時に、自分自身で工夫をしなさいと言うことです。

基礎をきちんと理解して指導し、安全で公平なスポチャンを楽しんで頂きたいと思います。




実際の大会運営についてもアドバイス頂けますか?


  まず、コートは約横7m・縦6mの長方形です。そして試合は3分一本勝負。
スポチャンの種目には、短刀、小太刀、長剣フリー、長剣両手、二刀、楯小太刀、槍・杖、異種などがありますが、出場人数や会場の大きさなどを考慮し種目を決定します。(大きな大会では種目の成立は1カテゴリー20名以上の出場を要します。20名に満たない場合は、他の成立したカテゴリーへ変更して貰います。)各種目毎に勝ち上がった者がその種目のチャンピオンとなります。またその種目では負けてしまった選手も他の種目にも出場できるので、チャンピオンになるチャンスがあります。各種目のチャンピオンのみが出場できるグランドチャンピオン戦での優勝者がナンバーワンとなります。
ルール,   得物と種目

2008年伊勢佐木警察署武道始めでの「合戦」小学生対警察官
2008年伊勢佐木警察署武道始めでの「合戦」(小学生対警察官)

  他に団体戦では、三名一チーム。得物は、先鋒(小太刀)・中堅(長剣)・両手・大将(二刀流)等で戦います。団体戦では仲間意識の中から友情が芽生えたり、団結力、責任感が生まれます。

  また「集団競技」として"合戦"があります。これは、20対20や50対50など多数で戦う試合方式です。初心者が多い場合や、イベント的な場合に行うと多くの人が参加でき、楽しむことができます。ポピュラーな方法は、面を付けた頭頂部に紙風船を付け、これを割られた方が負けとなります。30対30等人数を決めて、時間は約3分として「はじめ」ます。大人と小人と合戦する場合は、大人が5名人位 対 小人20人程度など、皆が公平感を持ち楽しめるよう様々に工夫をしておこないます。小人達が大人を打ち負かせるなど、大いに楽しむことができます。

  この様に導入段階では、基礎的な指導を通して「基礎体力の向上ための実践指導」を目指して頂きたいと思います。
第33回世界大会小太刀
第33回世界大会小太刀
第29回世界大会 入賞して
第29回世界大会 入賞して




有り難うございました。
次回のインタビューもお楽しみに!!

前号へ 次号へ

また、会長にお聞きしたい事があれば[ メールマガジン、お問合わせページ ]からお送り下さい!

ブラウザーを閉じる